【雑記ノート】(おまけコーナーを作成中!)

2012年5月14日月曜日

詩集『叫び』


詩集『叫び』
             葵夏葉


  ハエ

ハエがいる

俺の頭の上を

ブンブンと飛んでいる

アパートでも

会社でも

居酒屋でも

スナックでも

きっとコイツが死んだら

俺も死ぬんだろうな

そう思っていた

ある日

俺は結婚した

ハエは消えた

ほら、もう俺は死んだはず



  パン

パンの中身は、

パンの外側を食べないと

辿り着けない。

大きいパンなら、

尚更パンが好きでないと、

辿り着けない。



  理想

逃げても逃げても、

時馬は人々を追い掛け、

百代は多大にして積み重なる。

酒を片手に紡いだ調べは、

憂いの情を隠し切れず、

知らぬ間に床に就く。

理想をもう片手に握り締めながら。



  休息

悲しみの瀬に浮かび、

月夜の晩に身を投じて、

回想するのは過去の事柄。

木々が囁くように言う。

「冷たくなるぞ」 

それでも、私は

「まだこうしていたい」と

目をつぶる。



  行動

行動するとき、

人は活発になる。

じっとしていると、

物事も上手く進まなくなる。

それが安全だと思っていても、

やっぱり、

どこかツラい。

周りが次々と変わって行くから、

動いているから、

自分も

動かなくてはいけない気持ちになる。

そう思わせてくれる

友達や身近な人がいる。

それは決して悪いことではない。



  甘さ

人からほめられることをしたい。

人から認められることをしたい。

でも、

人からほめられたくない、

認めて欲しくない。

自分の心を縛るのは、

いつだって自分。

自分は常に、

曖昧な自分を求め続ける。

理解して欲しいのに、

理解して欲しくない。

なんて、贅沢だろう。

甘さかな。



  感覚

一点の黒と見るか蟻と見るか、

遠くにいる動物を

馬と見るか鹿と見るか。

人の感覚は誤認し易い。

しかも、

見え方に差がある。

一度感覚を疑ってみよう。

けれど、

自分の抱いた想い自体に

間違いはないはずだ。

勘違いはあったとしても。



  悩み

悩みは

一歩踏み止まる

〝弱さ〟になるが、

一歩踏み出せる

〝強さ〟にもなる。

迷いは決して、

あたふたすることではない。

見方を変えたり、

視野を広げたりしているのだ。

だから、

大変だし、

忙しい。

何もしていないのとは違う。

それが分かれば、

迷っている自分が許せる。



  望み

あの日、君と見た幾つもの惑星。

一度だって忘れたことはない。



アレが大きな木星だと。

アレが小さな冥王星だと。



僕も一緒に行きたかった。

けれど、行けなかった。


君の『望み』を、『幸い』を、

理解しようと、

大きな銀河の地図を作った。



忘れられない想いは、

木星のように大きく。



君と離れてしまったことは、

惑星と呼ばれなくなった、

冥王星のように寂しく。



それでも僕は、

どこかにいる君を想って、

今を生きる。



銀河の彼方に君を意識しながら。



  叫び

僕はおかしくならない。

叫ばない。

もう、いいんだ。


何を言う?

孤独か?

絶望か?


そりゃいい


叫んでみろ。何が変わると言うのだ。

嫌になるだけだろ。

そんな中で生きていける訳がない。

考え方を変えてみろ。見方を変えてみろ。

まだ大丈夫なんだろ、実は。

嘘なんて吐くなよ。

そんなに泣いて、泣き疲れるのを待っているのか?

ツラい事をいい事に、ツラいのが全てなんだと勘違いしていないか?

悔しいか? ツラいか? 痛いか? 苦しいか?

は! 何か変わったか。

何も変わらん。

本当にツラいヤツは、もうそこにはいない。

いようなんて思わないから。



頭が狂ってるとしか思われないぞ。

お前の文章は足りない。

まだ、足りない。

軸はいい。だが、それだと騒いだだけで終わりだ。

次の日には、二日酔いでぶっ倒れている、アホで終わる。

そうじゃない、そうじゃない。

酔うな、酔うな。

そんな悪酔いするな。アホだ。みっともない。

何が芸術だ。何が悲しいだ。

もっと書け。書いてみせろ。

優しいのなら、とことん悲しみも知らなくちゃいけない。

悲しいなら、とことん優しさを知らなくちゃいけない。

分かってるはずだ。

知ってるはすだ。

それで、書け。書いてみせろ。

それが、本当の叫びじゃないのか。

詩集『源』


  詩集『源』
             葵夏葉

  その意味

それを馬鹿だと思うのはアナタではない。

私である。

私が馬鹿だと思わなければ、

それは意味がある。

意味のあることだと認識するのは、

尤もアナタではない。

私である。

アナタが笑うことは勝手だが、

私は決して笑わない。

それは第一に、

私がそのことに関して

直接的な関係にあるのだから。



  想像

ときに私は想像する。

自分が死んだ後の世界を。

それは華やかだろうか、

笑顔で満ち溢れた世界だろうか。

人同士が殺し合うことのない、

平和な世界だろうか。



ときに私は想像する。

これから生まれて来る生命を。

それは美しいだろうか、

人を導いてくれるだろうか、

戦争を知らない子だろうか。



  限界

人間は

「限界」と言う言葉を作ってしまうから、

その言葉に頼って限界を見付けてしまう。


行動よりも先に、

言葉が先んじてしまうからこそ、

人間は頭ごなしに物事を否定したり、

肯定したりする。


けれど、

「限界」と言う言葉があるから、

限界を超えることが出来るよね。

どうやっても超えられないモノが

「限界」だとするのは

別に間違いじゃない。



けれど、いつ感じた「限界」なのか

よく考えてみよう。

そうすれば、きっと、

本当にちょっとの成長でも、

超えられる「限界」があるね。



  立場

山に登った

高い山だった

遠くを見渡せて

街が小さく見えた

僕はそこで偉そうに

立ってみた

自分が大きくなったような

そんな気がした



山を下りた

高い山だった

偉そうなのは

あの山だった



  存在

人は個性を尊ぶのに、

人と異なっていることを好きとしない。

自分は、

明るい人、

怖い人、

暗い人、

変な人、

不思議な人、

空気が読めない人、などと

思われていないだろうか。

人からの視線を気にしつつ、

あるがままに振舞っているつもりが、

社会の囲いの中で、

お互いの存在を確かめ合っているだけかもしれない。



  背き

緊迫した雰囲気は

自分を高めてくれるし、

しっかりしようと向上心も増す。

社会の決められたルールを守り、

ほめられることを頑張る。

でも、

それはときに自分を苦しめて、

周りと自分を比べてしまう。

比べていない人なんていないことを

知っているのに、

認められたいのに、

私は

社会に背を向ける準備をする。



  誰か側にいて

「ごめんね」と言われて

「いいよ」と笑顔で言うけれど、

心の中ではどこか寂しい。

仕様がないことは分かってる。

仕方のないことだと諦めてる。

けれど、

心の隅っこでは

諦め切れない自分がいて、

寂しくて凍える自分がいる。

みんなでいると

心が疲れることもあるし、

気を遣う。

でも、

誰かいないと自分が嫌になる。



  感情の正誤

想いは、

時間が経つに連れて

段々と弱くなる。

そのとき感じたモヤモヤも、

あとあと考えてみると、

大したことがないなと思ってしまう。

けれど、

感じる心は

正直で、

素直で、

自分自身に

何かを伝えようとしている。

感じたことを

否定しないで欲しい。

感じたことに

正解も間違いもないのだから。



  再認識

最近、

外の景色が

ここ数ヶ月の間とは違って見える。

黒と白のコンストラストが

建物や街灯を引き出たせているのか、

それとも、

見る視点が異なって来たからだろうか。

理由はともあれ、

家を出て空を仰げば、

近くも遠い月が白色に光り、

ここは地球なのだと

再認識させられる。

ここが現実なのだと知らされる。





  ドリンク

何故か物凄く憂鬱な気分。

そう思うことで

どうにか自分を保っていた。

自分は周りとは違うんだって、

見えないモノが見えるんだって。

けれど、

それは違った。

即座に元気になると言う

広告のドリンクを飲んだ。

何分経っても、

何時間経ってもよくならない。

そうか、

俺は最初から元気なんだ。



  言葉

ときに言葉は

言葉によって積み重なり、

かき消される。

時代と共に言葉は変化し、

ときに流行し、

ときに批判され、

言葉はその時代を形作る。

かつて、

言葉が持っていた意味を知り、

かつて、

言葉が持っていた虚しさと喜びを知る。

ああ、

僕らは言葉の中で

生きているのだな。

川のように流れる星々を選択して。



  気持ち

ほめられて嬉しい。

でも、

怒られたり、

けなされたり、

やっぱり、ツライ。

きっと、

「いい」とか「すごい」を

連発していると、

信憑性が低くなるからだろうな。

誰だってそんな言葉は言える。

言えるからこそ、

気持ちが大事なんだ。

さて、

どうしたら伝わるのか、

少し考えてみよう?



  明日

明日が来るのはツラいけれど、

明日が来ないのは、

もっとツラい。

今日一日悩んで解決しない想いは、

きっと明日、

誰かと会って

ほんのちょっぴりでも変わっていく。

明日は、

君の為の明日だよ。

明日を嫌いにならないで。